吉田沙保里は、前人未到のレスリング個人戦206連勝、オリンピック・世界選手権16連覇の偉業を成し遂げ、現在も現役のアマチュアレスラーとして、日々トレーニングに励んでいます。
2020年の東京オリンピック開催まで、すでに3年をきりました。
果たして吉田沙保里は、東京オリンピックの53㎏級日本代表に選ばれることができるのでしょうか?
更には今後、吉田沙保里が総合格闘技へ参戦することはあり得るのかみていきましょう。
吉田沙保里経歴
吉田沙保里の経歴を確認しましょう。
1982年10月5日生まれの吉田沙保里は、現在34歳になります。
三重県津市に生まれ、自宅でレスリング道場を開いていた父の影響をうけ、レスリングは3歳の時から始めました。
1998年に、英国のマンチェスターで行われたレスリング世界カデット(16~17歳)選手権で優勝、翌年1999年の大会でも優勝を果たします。
それからは正に破竹の勢いで、世界ジュニア選手権(21歳以下)を連覇、その後、当時世界女王だった山本聖子を破り、55㎏級(当時)では無敵となります。
2004年のアテネオリンピックの時に、初めて女子レスリングがオリンピックの正式種目となり、21歳の吉田沙保里は金メダルを獲得しました。
その後、2008年北京、2012年ロンドンオリンピックで3連覇を達成します。
昨年の2016年リオデジャネイロでは、決勝で米国の選手に敗れ、「たくさんの方に応援していただいたのに、銀メダルに終わってしまって申し訳ない」と試合後のインタビューに応えていたのが記憶に新しいところです。
吉田沙保里と同階級の選手
2015年の1月に日本レスリング協会では、2020年東京オリンピックへ協会をあげて強化するターゲット選手を、男女合わせて74名発表しました。
2016年のターゲット選手として吉田沙保里の名前は上がっていましたが、2020年には名前が載っていません。
吉田沙保里の現在の階級は、53㎏級です。
吉田沙保里と同じ階級で2020年ターゲット選手に選出されたのが、入江ななみ(福井県体協)、向田真優(至学館大)、浜田千穂(キッコーマン)の3名です。
ちなみにRIZINで活躍する村田夏南子(63㎏級)もターゲット選手に選ばれています。
2017年にパリで行われたレスリング世界選手権には、女子53㎏日本代表として向田真優が出場しています。
向田真優は決勝まで進みましたが、決勝でベラルーシのバネサ選手に敗れ、2位という結果に終わりました。
向田真優は、1997年生まれで、まだ20歳になったばかりの選手です。
もし吉田沙保里が2020年の東京オリンピックに出場すると、その時の年齢は37歳です。
もちろん日本代表の座を勝ち取ることは不可能ではありませんが、体力面そして何より精神面で、トップアスリートのモチベーションを保ち続けることは容易ではないでしょう。
実際、吉田沙保里は現役を引退していませんが、2016年9月に日本レスリング協会のコーチに就任しています。
オリンピック代表選手選考方法
日本レスリング協会では、前回のリオオリンピック(2016年)の代表選考方法を、2014年12月に全日本選手権終了後の理事会で決定しました。
その内容(女子)は、
①世界選手権大会(9月)代表選手がメダル(出場枠)を獲得した場合
→2015年12月天皇杯に出場した時点で内定する。(計量のみは不可)②世界選手権大会代表選手がメダル獲得なしで出場枠のみ獲得した場合
(1)代表選手が2015年12月天皇杯で優勝したら内定する。
(2)代表選手と2015年12月天皇杯優勝者が異なった場合、この2選手から女子強化委員会で選手を選考する。③世界選手権大会代表選手が出場枠を獲得できなかった場合
2015天皇杯優勝者に2016アジア大陸予選の出場権利を与える。④アジア大陸予選代表選手が出場枠を獲得した場合
2015年世界代表選手とアジア大陸予選代表選手から五輪代表選手を女子強化委員会で選考する。
というものでした。
簡単に補足(リオの場合)すると、オリンピックの各階級に参加できる選手は18名です。
前年の世界選手権で代表選手が6位までに入れば、その国が出場枠(6)を与えられます。
その次にオリンピックと同じ年に、大陸予選(4大陸別)が行われ、各大陸上位2位の選手が出場枠(8)を獲得します。
更に、世界予選第1戦・第2戦と大会が組まれ、各上位2名が出場枠(4)を得ます。
これで、18枠です。
では、世界選手権大会に日本代表として出場するためにはどうしたら良いかというと、毎年6月に行われる明治杯全日本選抜選手権で優勝することです。
詳細は変更があるかもしれませんが、2020年の東京オリンピック代表選考も同様な形で行われるのではないでしょうか。<リオ・オリンピック代表選考システム(JWF)>
吉田沙保里が東京オリンピックに出場するためには、2019年6月の明治杯全日本選抜選手権に出場することが、大前提になります。
総合格闘技参戦への可能性
吉田沙保里はしばらく、選手兼コーチという立場でレスリングに関わっていくわけですが、その現場で若手の成長を肌で感じながら、今後の進退を決めていくことでしょう。
そして、もしレスリングの現役引退ということになれば、話題にのぼると予想できるのが、『総合格闘技参戦』という話です。
RIZINと日本レスリング協会は良好な関係を築いています。
2020年東京オリンピックの有力な候補であり、ターゲット選手に選ばれている村田夏南子や山本アーセンが、参戦していることをみてもそれが伺えます。
仮に吉田沙保里がその気になれば、日本レスリング協会のコーチを続けながら、RIZINに参戦することは充分可能でしょう。
RIZINの榊原信行実行委員長は、吉田沙保里に対して「会うたびに誘っていますよ。彼女は『怖い怖い、顔を殴られるのは痛い』って言ってますが」とインタビューに応えています。
東スポの記事にも吉田沙保里の言葉として
「(打撃は)怖い。私はケンカが嫌いだから無理。やられるのも嫌だし」
と載っています。
どこまで本気の言葉かわかりませんが、吉田沙保里自身、総合格闘技への興味(自身がやる)がないのかもしれません。
私の個人的な意見としては、吉田沙保里は総合格闘技をおこなわないと思います。
それは吉田沙保里の性格が、打撃を含む戦いに向いていないと感じるからです。
もちろん吉田の性格と言っても、TVなどで見る吉田沙保里の言動からの判断ですが。
オリンピック3連覇を成しとげ、国民栄誉賞を受賞した人物が、30代半ばにして総合格闘技の世界に足を踏み入れるとすれば、それは相当お金に困っているか、『最強』への拘りしかないような気がします。
吉田沙保里のオリンピック4連覇の夢がついえた時点で、総合格闘技参戦が実現しなかった事実から、吉田の総合格闘技参戦への可能性は、10%くらいと私はみます。
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