9月18日に、山本美憂の弟である山本KID徳郁が亡くなりました。
山本KID徳郁は、1977年3月15日生まれで、まだ41歳という若さでした。
オリンピックでレスリング日本代表として出場することはできませんでしたが、山本KID徳郁は、間違いなく総合格闘技の世界で一時代を築いた存在でした。
ご冥福をお祈りいたします。
その姉である山本美憂は、現在もなお、総合格闘技の世界での戦いを続けています。
9月30日にRIZINへの出場が決まっている山本美憂の対戦相手は、アンディ・ウィンです。
2016年12月31日、同じRIZINのリングで対戦した際、山本美憂は、アンディに敗れています。
前回の対戦をふり返りつつ、山本美憂がこの試合にかける思いを確認してみます。
前回のアンディ戦
アンディ・ウィン戦は、山本美憂にとって、総合格闘技2戦目の戦いでした。
試合開始1分、アンディの左ローキックに合わせて山本美憂がタックルに入り、テイクダウンに成功します。
しかし、アンディの寝技でのディフェンスが固く、攻めきれずにスタンディングに戻ります。
その後、アンディのパンチのタイミングに合わせて、再びタックル、テイクダウンという展開になりましたが、そこには落とし穴が待ち構えていました。
ガードポジションからアンディの長い脚が、山本美憂の首をとらえ、そのまま固定されていた右腕を伸ばされて万事休す。
山本美憂にとっては悔しい、腕ひしぎ十時固めによる一本負けとなってしまいました。
この試合で山本美憂は、かなり打撃を練習して臨んだようで、その打撃の成長が試合中もみられました。
打撃を恐がらない戦い方が、無理なくスムーズに2度のタックルに入れたといえます。
ただ、テイクダウン後の攻めに、落ち着きとバリエーションが足りなかったという感じはありました。
まぁ、結果を見てからでは、誰でも何とでも言えるのですが。
再選への思い
山本美憂にとって、この再戦には大きな意味があります。
弟の山本KID徳郁が、ガンの闘病を公にしたのは、今年の8月26日のことでした。
自身のインスタグラムに、
「私事で急なご報告となりますが、私山本KID徳郁はガン治療のために頑張っています。絶対元気になって、帰ってきたいと強く思っていますので温かいサポートをよろしくお願いします!」
と報告したのです。
山本KID徳郁はガン発症後、目立たないように、都内ではなく地方で抗がん剤治療をおこなっていたといいます。
そんな弟の闘病姿をみていた山本美憂は、自分にできることは、ずっとサポートしてきてくれた弟に、総合格闘技で『戦う姿を見せること』との思いをもちます。
山本美憂は8月上旬、RIZINの榊原信行実行委員長に、9月の試合出場を直訴しました。
その思いに対して榊原信行実行委員長は、
「当初、組む予定はなかったが、闘病する弟のために自分が戦うことで勇気を届けたいという思いに応えた」
と語っています。
結局、9月30日に試合を待たずに山本KID徳郁は、召されてしまいました。
相当なショックを受けたであろう山本美憂でしたが、彼女は「勝って弟にいい報告をしたいと思う」と今回の出場を宣言しています。
山本美憂の成長過程
RENA戦
山本美憂の総合格闘技デビュー戦は、2016年9月25日のRENA戦でした。
レスリング世界女王とはいえ、すでに年齢は42歳になっていて、下馬評ではRENA有利という予想でした。
試合は、タックルでRENAを倒したものの、山本美憂は下からの打撃をくらってしまいます。
「タックルに入れたのはよかったがグラウンドになってからコントロールできなかった」と山本美憂はふり返り、RENAは「抑え込む力が思った以上になかった」と感想を述べています。
両者が語っていることが、そのまま結果につながったといえます。
最後は、アームトライアングルチョークでの敗戦となり、苦いデビュー戦となってしまいました。
アンディ・ウィン戦
総合格闘技2戦目は、先ほどの見てきたアンディ・ウィン戦でした。
アンディ・ウィンは立ち技主体の選手です。
RENAほど立ち技での圧力はなかったものの、そのアンディに対して、山本美憂は打撃で、ほぼ互角に対峙していました。
その結果、無理なくタックルに入ってテイクダウンできていたので、その部分では成長できていたと思います。
キャシー・ロブ戦
3戦目は、2017年7月30日におこなわれ、秋から開催される女子スーパーアトム級GPへの出場権をかけたキャシー・ロブ戦でした。
2連敗で背水の陣ともいえる山本美憂は、積極的に攻撃をしかけ、打撃でも相手の顔面をとらえたり、寝技ではほとんど相手をコントロールしていました。
サイドポジションから相手へのヒザ攻撃が有効でしたが、最後まで極めることはできずに、判定まで持ちこたえられてしまいました。
とはいえ、誰が見ても文句のない判定勝ちをおめることで、本人は気持ち的に相当楽になったことでしょう。
アイリーン・リベラ戦
4戦目、出場した女子スーパーアトム級GP一回戦では、170㎝のアイリーン・リベラに対して、山本美憂の身長は156㎝。
長い手足を駆使し、「三角締めが得意」と公言するアイリーンに対して、山本美憂は寝技地獄にはまってしまいます。
最後は、三角締めの体制から腕を極められ、腕ひしぎ十時固めでの敗戦となります。
アイリーンは、山本美憂の立ち技での打撃を嫌がっていたところもあったので、顎を引いてもう少し強引に打撃勝負をしても良かったと思います。
結局は、タックル・テイクダウンまではいっても、そこからの展開がなかなか見いだせないという結果に終わってしまいました。
石岡沙織戦
5戦目、直近の試合です。
2018年7月29日におこなわれたのは、石岡沙織戦です。
石岡沙織は空手がベースの選手ですが、すでに総合格闘技を26戦おこなっている寝技も得意な選手です。
身長は156㎝で山本美憂と同じです。
二人の試合はとてもかみ合った良い試合となり、結果は判定(2-1)で山本美憂が僅差で勝利しましたが、寝技における進化はあまり見られませんでした。
一つでもこの型に入れば極められるというものができれば、44歳という年齢でもまだまだ山本美憂は活躍できる可能性があります。
そういった意味では今回のアンディ・ウィンとの再戦は、絶好のチャンスです。
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